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コラム

労働組合に関する初期対応について② 【労組法上の使用者性及び義務的団交事項について】

執筆 大山 洸来
業務分野
テーマ 労働組合法
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執筆日

2024年3月25日

(3)労組法上の使用者性について

ア 団体交渉の申入れに対する対応

 前回のコラムにおいて解説したとおり、労働組合から団体交渉を申し入れられた場合の対応のためには、①労働組合に加入した者が「労組法上の労働者」(労組法3条)に該当するか否か、②自社が「使用者」(労組法7条)に該当するか否か、③団体交渉の要求事項が義務的団交事項であるか否か、の3点を検討する必要があります。検討した結果、①「労働者」に該当しない場合や、②「使用者」に該当しない場合、③義務的団交事項ではない場合(任意的団交事項)であれば、その団体交渉を拒否しても、不当労働行為である「団交拒否」にはならないため、法律上団体交渉を受ける義務はありませんが、「労働者」「使用者」に該当し、かつ義務的団交事項に該当するのであれば、団体交渉を受ける義務があり、これを拒否すれば「団交拒否」に該当してしまいますので、慎重に判断する必要があります。

 本コラムでは、前回解説した①(労組法上の労働者性)に引き続き、②労組法上の使用者性と、③義務的団交事項の該当性について解説していきます。

イ 判例等の見解

 労組法上の使用者性については、労働組合法上の定義はありません。通説は「労働契約関係ないしはそれに近似ないし隣接した関係を基盤として成立する団体的労使関係の一方当事者」と整理しています[1]。そして朝日放送事件(テレビ番組の制作業務を受注し、発注企業の構内で発注企業の指示を受けながら作業していた企業の従業員について肯定)[2]では、こうした通説の見解を踏まえて、雇用契約の存在を基礎としつつ、それ以外の事業主であっても、その労働者の基本的な労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて労組法上の「使用者」に当たると判断しました。

 こうした通説及び判例を踏まえると、労組法上の使用者性を検討するにあたっては、①団体交渉を申し入れてきた労働者と申し入れを受けた事業主との直接の契約関係の有無を検討し、②仮に雇用契約の存在がない場合であっても、団体交渉を申し入れた労働者の基本的な労働条件等についてその直接の雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができるか否かを検討する、という流れになります。

 このように、仮に企業が直接雇用していない労働者から団体交渉を申し入れられた場合に、それだけをもって団体交渉を拒否してしまうと、上記のような判例等を踏まえて労組法上の使用者性が認められるとして不当労働行為の認定を受けてしまう事態があり得ますので、事案によっては、慎重な判断が必要となることがあります。

 今回は、このように企業が直接雇用していない場合であっても労組法上の使用者性が肯定され得る場合を解説します。

ウ 重要類型の解説

(ア)社外の労働者を受け入れて業務をさせる場合(業務委託や労働者派遣)

a ①発注業者が、受注業者に対して、発注業者の構内において作業させる内容の業務委託契約を締結し、受注業者と雇用契約を締結している従業員が発注業者の構内において作業に従事する場合(いわゆる構内請負と呼ばれる形態です。)や、②ある事業主(「派遣先企業」といいます。)が、派遣元企業と労働者派遣契約を締結し、自社において派遣元企業と雇用契約を締結している労働者を自社の業務に従事させている場合において、当該受注業者の従業員や派遣労働者が、発注業者や派遣先企業に対して団体交渉を申し入れる場合が典型例です。

b このような類型の場合、上記イの判例等を踏まえると、①発注業者等と、当該従業員の間には労働契約が存在しない以上、②発注業者等が、当該労働者の基本的な労働条件等について、受注業者等と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できるか否かを検討することになります。

 こうした類型において問題になるのは、直接の契約関係は受注業者等と労働者間の契約である以上、賃金等の労働条件は受注業者等が決定するものの、作業現場のスケジュールや場所、必要な道具、就業環境等具体的な労働状況に関しては発注業者等が決定する場合です。このような場合には、個々の事案の具体的事実関係を前提とした場合、発注業者等が賃金等の労働条件について受注業者等と同視できる程度に支配、決定しているとは言いにくいものの、就業時間や場所、就業環境等の労働条件については、発注業者等が受注業者等と同視できる程度に支配、決定している、といえる余地のある事案も想定されます。このような場合には、就業時間や場所等の労働条件に関する団体交渉との関係に限って、発注業者等は労組法上の使用者であるとして団体交渉を誠実に行うことも選択肢の一つとなります。

 上記イの最高裁判例においても、TV会社である朝日放送社が、請負企業から雇用する技術者を受け入れて、同社の番組制作現場において、同社作成の日程・進行表に従い、同社の従業員とともに番組制作業務に従事させており、作業進行も同社ディレクターの指揮監督によって行われ、作業時間や休憩の予定、その変更も同様であったものの、請負企業が技術者の申告に基づいて労働時間を計算して残業代を支払っており、また請負企業自身就業規則を制定しており、労働組合との間で賃上げなどの団体交渉を行っていたという事案において、最高裁は、中央労働委員会が発した「組合員らの番組制作業務に関する勤務の割り付けなど就労にかかる諸条件」に限って朝日放送社が団体交渉を拒否してはならないとの救済命令を肯定しました。

c 一方で、発注業者等と受注業者等の契約関係の解除等による終了や、取引条件等の交渉の結果受注業者等が事業継続を断念して解散した場合、当該受注業者の従業員が発注業者等に対して雇用確保等を求めて団体交渉を申し入れる事例が増えています。

 このような場合も、基本的には上記aの判例等の規範に沿った検討を要するところ、労働の諸条件のみならず、労働者の雇用そのもの(採用や配置、雇用の終了など)について受注業者等と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配、決定を行っている必要があります。実際に各種裁判例や命令においても、発注業者等にはそのような受注業者の労働者の雇用そのものについて受注業者等と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配、決定を行っているとは認められないとして、団交拒否の成立を否定している事案があります[3]

d また、特に労働者派遣については、派遣労働者の労働条件を決定する立場にある者は派遣元企業であるため、派遣就業条件の変更等に関する団体交渉は派遣元が応じるものであり、また労働者派遣契約の規定に従ってなされる派遣先の派遣労働者への指揮命令は、派遣先企業の労組法上の使用者性を基礎づけないとされています[4]

 もっとも、労働者派遣法上派遣先が使用者として労基法の適用を受ける場合(労働者派遣法44条2項、3項)に、これらの基準に違反している場合や、就業実態が労働者派遣法や労働者派遣契約の枠組みなどを逸脱している場合、業務委託の形式で行われる労働者派遣の場合(いわゆる偽装請負)には、上記判例等を踏まえて労組法上の使用者性が肯定される可能性があります[5]

e このように、発注業者等と受注業者等の労働者の間に契約関係がない場合でも、発注業者の支配下(構内等)において当該労働者が業務に従事する場合、当該労働環境の改善等については労組法上の使用者であるとして団体交渉を行う必要が生じる可能性があります。

 そのため、団体交渉の申入れがあった場合には、契約書の規定がどのように定められているかを前提として、自社の従業員が受注業者の労働者に対して直接指揮監督しているか否か、労働時間や場所の決定についてだれが決定しているのかなどの実際の運用面について、社内ヒアリングを実施するなどして実態を把握したうえで、申入れがされた団体交渉での協議事項との関係で労組法上の使用者に該当するか否かを検討していくことが重要となります。

f なお、形式上発注業者と受注業者間の契約ですが、実質的に受注業者が独立した事業主としての実態を持っていないような場合[6]や、個人事業主との業務委託契約等について、実質的に労働契約関係に近似する関係が成立している場合[7]には、実質的に当該労働者などの労働条件を支配、決定できる地位にあるとして、労組法上の使用者性が認められる事案もあり得ますので、そうした契約関係については、慎重に判断していく必要があります。

(イ)親子会社の場合

a 子会社の従業員が、親会社に対して団体交渉を申し入れる場合が典型です。

 このような場合、親会社は、子会社の株式所有や役員派遣等によって子会社の経営を支配下に置いているとして、子会社の労働条件が実質的には親会社によって決定されているなどと主張される場合がままあります。

b 親子会社に関しても、労組法上の使用者性の検討は、上記イの判例等を踏まえて、親会社が子会社の従業員の労働条件等について子会社と同視できる程度に支配、決定できるかが判断基準になります。

 もっとも、親子会社の関係は、連結決算を通じた企業グループの場合や、純粋持株会社(ホールディングス会社)による企業グループ、投資会社等とそれによって買収された会社等多種多様な形があるため、それぞれの個別具体的な事情に応じて、子会社が親会社と別個の経営主体として自主的な管理運営がなされており、労働条件等についても親会社の介入なく子会社が決定しているのか、実質的には親会社の一部門として親会社の支配を受け、子会社の労働条件等も親会社が決しているといえるのかを検討していくことになります[8]

(ウ)労働契約関係と隣接する関係がある場合

a これまで見てきた類型は、主に現在の契約関係やその運用面における実態等に焦点を当てて労組法上の使用者性を検討してきました。

 これに対して、労働契約関係の前後の関係、例えば①ある企業に何度か期限付きで雇用されてきた季節労働者の再雇用や、事業譲渡や会社分割等における従業員の承継等の場面といった近い将来において労使関係が成立する具体的かつ現実的な可能性がある場合と、②既に解雇や雇止めなどによって契約関係が終了してした場合などにおいて、雇用契約の締結や解雇の撤回などを求めて団体交渉を申し入れる場合において、事業主に労組法上の使用者性が肯定されるか、という問題があります。

b ①に関する判例は、使用者の採用の自由や労組法上雇入れ段階での規制は黄犬契約(労働組合に加入しないこと又は脱退することを条件とする雇用契約)のみを禁止していることを踏まえて、「雇入れの拒否は、それが従前の雇用契約関係における不利益取扱いに他ならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り、労働組合法7条1項本文にいう不利益な取り扱いに当たらない」と判断しております[9]

 そのため、上記①については、譲渡会社において組合員であることを理由に譲受会社が採用しないなどの場合に問題になるため、会社分割や事業譲渡において労働組合に加入する労働者とそれ以外の労働者で差別するようなことがないよう注意する必要がありますし、組合員の承継に関する団体交渉を求められた場合、慎重に検討する必要があります。一方、それまで直接の契約関係がない労働者から直接雇用の団体交渉を求められた場合、上記のように黄犬契約にならない限りは、基本的に「従前の雇用契約関係」が想定されないため、労組法上の使用者性は否定されると考えられます。

 また、労働者派遣に関して、派遣先企業がそれまで受け入れてきた派遣労働者について直接雇用することを決定した場合には、現実的に直接の雇用契約が締結される前であっても、既に近い将来において労使関係が成立する具体的かつ現実的な可能性があるとして、派遣先企業に労組法上の使用者性を肯定し、団体交渉を命じた命令例もあります[10]

c これに対して、上記a②のように解雇などによって契約関係が終了した場合は、その契約関係終了そのものが争われている以上、基本的には労組法上の使用者が肯定されることになります。

 この点について特に問題になるのは、解雇等による契約関係の終了から長期間が経過したのちに、解雇の撤回や労働安全衛生上の問題(アスベストなど)に関する団体交渉を求められた場合です。このような場合、裁判例や命令例等の流れとしては、解雇等の紛争が顕在化した時期から団体交渉申入れに至る期間や経緯(申入れまでに訴訟手続等の結果が出ているかなど)といった事情を踏まえて、いまだ元雇用主が労組法上の使用者としての地位を有しているか検討しています[11]

 そのため、解雇等によって契約関係が終了した従業員が労働組合に加入して団体交渉を申し入れてきた場合、基本的には応じる必要がありますが、上記のように相当程度長期間にわたって放置されていたような場合は拒否しうる余地があります。

(エ)その他の問題

 なお上記(ア)ないし(ウ)において解説してきた労組法上の使用者性は、吸収合併等一定の場合に他の企業に承継されることがあります。

 まず吸収合併や新設分割の場合、吸収消滅会社や新設分割会社が行った不当労働行為について、吸収合併であれば包括承継により、新設分割であれば分割によって承継する事業にかかる分割会社の不当労働行為責任を承継します[12]

 また、労働組合を消滅させるために、会社を解散しつつ別会社において実質的に同一事業を継続する「偽装解散」の場合には、①解散・事業承継についての組合潰しの意図と、②解散会社と事業承継会社との資本、経営者、事業内容等における実質的同一性を踏まえて、事業承継企業が解散会社の使用者性を承継することがあります[13]

 そして、吸収合併や新設分割等の場合、上記(ウ)bのように採用・承継に関する差別が問題になる場合もありますので、合併・分割の判断は慎重に行う必要があります。

エ 労組法上の使用者性に関する小括

 以上の解説のとおり、労組法上の使用者性も、労組法上の労働者性と同様、契約書等の形式面に加えて、実際の運用状況等の実質面も重視して判断されることから、安易に判断してはならず、すぐに専門の弁護士に相談し、迅速な事実関係の把握と判断を行う必要があります。

(4)義務的団交事項について

ア 団体交渉義務について

 これまで解説してきたとおり、団体交渉申入れに対しては、申入れを行ってきた労働者が労組法上の労働者に該当するか否か、労組法上の使用者に該当するか否かを検討する必要があります。

 そして、仮にこれらの要件が満たされた場合であっても、申入れされた団体交渉の内容が法律上団体交渉に応じなければならない事項(これを「義務的団交事項」といいます。)なのか、そうではない事項(これを「任意的団交事項」といいます。)であるかを検討する必要があります。仮に団交事項が義務的団交事項である場合、これを拒否すれば、団交拒否の不当労働行為(労組法7条2号)に該当してしまうため、この点も団交申入れを受けた後、速やかに検討しなければなりません。

イ 義務的団交事項の範囲について

 義務的団交事項の範囲については、法律上の定義はありませんが、通説[14]及び裁判例[15]では、「組合員である労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運用に関する事項であって、使用者に処分可能なもの」とされています。

 以下では、この義務的団交事項の定義を踏まえて、具体的な場面ごとに解説します。

(ア)労働条件その他の待遇

 上記定義の「労働条件その他の待遇」としては、一般的に労働の報酬(賃金や一時金、退職金等)、労働時間、休息(勤務中の休憩時間、休日)、安全衛生、災害補償、教育訓練などが代表例です。これに加えて、労働の内容や密度、方法、場所、環境や、組合員の配転・昇降格・人事考課、懲戒、解雇といった人事に関する事項(基準や理由に加えて、事前相談などの手続面も[16])といったものも含まれます。

 これに対して、新機械の導入や設備の更新、生産方法、工場や事務所の移転、経営者や管理職の人事、事業譲渡、会社の組織再編、業務の下請化といった経営・生産に関する事項は、基本的にそれが労働条件や雇用に直接影響が生じる場合にのみ、当該影響を受ける場面に限って「労働条件その他の待遇」として義務的団交事項になります。そのため、例えば事情譲渡や会社の組織再編、業務の下請化等によって、現在対象の事業に従事している従業員の労働条件(給与や業務内容、労働場所や時間等)が影響を受ける場合は、当該労働条件は義務的団交事項に含まれます[17]

 一方で、労働組合の社会的使命感に基づく要求(例えば「軍需産業や原発関連製品の受注停止」や「公害をもたらす製造工程反対」など)は、上記のとおり労働者の労働条件等に直接影響が生じる場合でない限り、義務的団交事項には該当しません。

(イ)団体的労使関係の運用に関する事項

 上記定義の「団体的労使関係の運用に関する事項」としては、労働組合とのユニオン・ショップ協定や組合活動に関する便宜協定・ルール、団体交渉の手続やルール、労使協議手続き、争議行為(ストライキ等)に関する手続やルールなど、労働組合と使用者の間の労使関係に関する事項が含まれます。

(ウ)使用者の処分可能性

 上記(ア)又は(イ)の要件を満たした事項であっても、それが使用者によって処分できるものでなければ、団体交渉を行っても使用者が決定できるものではないため、義務的団交事項には当たりません。

 そのため、例えば、最低賃金法に基づく地域別の最低賃金額そのものについては、労働者の労働条件ではありますが、使用者に変更できるものではないため、義務的団交事項には当たりません。

 もっとも、使用者が実質的に支配、決定できる事項であれば足りるため、例えば親会社が子会社の従業員の労働条件を支配、決定している場合には、法人格は別であるものの、子会社の従業員が親会社に対して当該労働条件の改善に関する団体交渉を行った場合、義務的団交事項に含まれる余地があります。

ウ 義務的団交事項に関する小括

 以上のとおり義務的団交事項は、たとえ経営に関する事項であっても内容によっては含まれる場合があるため、実質的に従業員の労働条件等への影響の有無等を検討する必要があります。

 

2 団体交渉を申し入れられた場合の具体的な検討

 上記1のとおり、団体交渉が申し入れられた場合には、①当該労働者が労組法上の労働者に該当するか、②事業者が労組法上の使用者に該当するかを検討したうえで、③さらに団体交渉の要求事項が義務的団交事項に含まれるか否かを検討する必要があります。

 そしてこれらが認められる場合には、基本的には団体交渉に応じなければ団交拒否の不当労働行為に該当してしまうため、実施日時や場所、出席者の選定等実施に向けた準備を行う必要があります。一方で、上記要件に該当しない場合、団体交渉には応じないという対応を一貫させることも一つの方法ではありますが、実務的には、任意的に会社の方針や見解について説明する面談を実施することもあります。任意的な面談の実施に際しては、あくまでも法的には団体交渉を応諾する義務はないものの、会社の方針や見解を説明する場を提供するものであるということを明確に示した上、開催する目的達成のために的確な進行を意識し、対応していく必要があります。

 こうした検討・判断は、団体交渉の申入れから数週間から1か月程度で労働組合に対して実施するか否かを回答することが必要となる事案があるため、早急に検討・判断する必要があります。そのためにも、団体交渉の申入れがされた後早急に専門的知見を有する弁護士へ相談し、初動対応を検討することをお勧めいたします。特にこの手の事案については、一度会社として回答してしまった場合、後に撤回・変更することが難しく、取り返しのつかない事態が生じる可能性もあります。

第3 総括

 今回は、前回コラムに引き続き、労働組合から団体交渉を申し入れられた場合の検討事項等について解説してきました。

 労働組合対応は、特に初動対応が重要な事案です。また日ごろの契約書作成やその運用等によって団体交渉に応じるか否かの判断に影響が生じるものでもあります。そのため、日ごろから顧問弁護士等によるチェックを行うとともに、いざ団交申入れが来た場合には、早急に相談できる体制を構築しておくことも重要になってきます。

 本コラムが、これらの検討などにおいて活用されれば幸甚です。

以上

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[1] 菅野和夫『労働法』(弘文堂、第12版、2021年)1006頁参照

[2] 最高裁判所平成7年2月28日第三小法廷判決・民集49巻2号559頁

[3] 東京地方裁判所平成17年3月30日判決(西日本旅客鉄道事件)、中央労働委員会平成14年7月3日(全日本空輸・大阪航空事業事件)、中央労働委員会平成20年7月2日(福岡大和倉庫・日本ミルクコミュニティ事件)、東京高等裁判所令和2年6月10日判決(国・中労委(国際基督教大学)事件)など

[4] 昭和60年4月19日、同月23日、同年5月14日の衆議院社会労働委員会や、同年5月23日、同月30日、同年6月6日の参議院社会労働委員会における政府答弁

[5] 中央労働委員会平成24年9月19日(ショーワ事件)、東京地方裁判所平成25年12月5日(阪急交通社事件)など。なお水町勇一朗『詳解労働法』(東京大学出版会、第3版、令和5年)1233頁以下は反対。

[6] 最高裁判所昭和51年5月6日第一小法廷判決・民集30巻4号409頁(油研工業事件)

[7] 最高裁判所昭和62年2月26日第一小法廷判決・集民150号263頁(阪神観光事件)

[8] 東京高等裁判所平成24年10月30日判決(国・中労委(高見沢電機製作所事件))、東京高等裁判所令和4年1月27日判決(国・中労委(昭和ホールディングス事件))など

[9] 最高裁判所平成15年12月22日第一小法廷判決・民集57巻11号2335頁(JR北海道事件)

[10] 中央労働委員会平成21年9月2日・東京高等裁判所平成23年12月21日判決(クボタ事件)

[11] 肯定例:最高裁判所昭和61年7月15日・労働判例484号21頁(日本鋼管事件・解雇から6年10か月経過したのちの団交申入れだが、それまで裁判所で解雇問題を争うなどしていた。)、最高裁判所平成23年11月10日(住友ゴム事件・原審の大阪高等裁判所平成21年12月22日判決を是認。在職中の業務中に石綿に暴露したことによる肺がんなどの疾病が退職後長期間経過後に発覚したため、元の企業に補償等を求めた事案。)など

 否定例:東京地方裁判所昭和63年12月22日判決(三菱電機事件・解雇から8年10か月後になされた団体交渉の申入れについて、約7年後に労働組合に加入して抗議活動等を行っていたにとどまるなどとして、不当労働行為の成立を否定)など

[12] 東京地方裁判所平成20年2月27日(モリタ事件)など

[13] 中央労働委員会平成21年9月16日(吾妻自動車交通事件)、大阪府労働委員会平成24年11月2日(福住コンクリート工業事件)など

[14] 前注1・菅野『労働法』901頁、前注5・水町『詳解労働法』1153頁

[15] 東京地方裁判所平成9年10月29日判決(エス・ウントー・エー事件)、神戸地方裁判所平成13年10月1日判決(本四海峡バス事件)

[16] 東京地方裁判所平成14年2月27日判決(日本アイ・ビー・エム事件)

[17] 名古屋地方裁判所昭和38年5月6日判決(明治屋事件)、東京地方裁判所平成8年3月28日判決(エスエムシー事件)

※本コラムは、一般的な情報提供を目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。コラム内の意見等については執筆者個人の見解によるものであり、当事務所を代表しての見解ではありません。個別具体的な問題については、必ず弁護士にご相談ください。

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