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盛土規制法の施行(令和5年5月26日から)

執筆 清川 祐光
業務分野
テーマ 法令改正
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執筆日

2023年6月19日

 令和5年(2023年)5月26日、宅地造成等規制法の一部を改正する法律(令和4年法律第55号)が施行されました。これにより、宅地造成等規制法は、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」)と改題され、危険な盛土等についても法律による規制対象となりました。

 以下では、盛土規制法の概要と留意点について簡単にご紹介します。

<はじめに>

 令和3年(2021年)7月、静岡県熱海市伊豆山地区において大規模な土石流が発生し、甚大な人的・物的被害が生じました。このような土砂災害が発生したのは、同年7月1日から数日間にわたって記録的な大雨が降り続いたことにより、同地区の盛土が崩落したことが原因とされています。

 熱海市での土砂災害を受けて、従来の盛土規制における課題が表面化することとなりました。すなわち、従来は、盛土について直接的かつ統一的に規制するための法律が存在しておらず、特定の地域における土地利用の方法を規制している宅地造成等規制法、森林法、農地法などの各法律において、一定の土地開発等を制限することで間接的又は部分的に盛土を規制しているにすぎませんでした。その他、不適正な盛土を規制するための条例を制定している自治体も一部存在したものの、目的、規制対象行為、規制方法などが自治体ごとに異なる部分もあり、不適正な盛土の全てに十分対応できるわけではありませんでした。

 熱海市の土石流発生地点においても、宅地造成に関する工事ではなかったため宅地造成等規制法上の許可が必要とされなかった、当初1ヘクタール未満の開発行為との届出がなされていたため森林法上の開発許可がなされなかったなど規制の隙間というべき状態が生じ、十分な対応が困難であったといえます。

 そこで、そのような規制の隙間をなくし、危険な盛土等を全国一律の基準で、直接的かつ包括的に規制するために、今回の法改正がなされました。

<改正の内容>

1 概要

 冒頭でも記載したように、盛土規制法は、宅地造成に伴う盛土等について一部規制していた宅地造成等規制法を全面的に改正して成立しました。

本改正は、以下の4つの枠組みを大きな柱としています。

  ① 隙間のない規制

  ② 盛土等の安全性の確保

  ③ 責任の所在の明確化

  ④ 実効性のある罰則の措置

①は、隙間のない規制、すなわち規制区域と規制対象の拡大です。宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により被害が生じうる区域を規制区域として指定することとしました(規制区域の拡大)。そして、規制区域内で行われる盛土等について、宅地造成の際の盛土に限らず単なる土捨て行為や一時的な土砂の堆積についても広く都道府県知事等の許可が必要となりました(規制対象の拡大)。

②は、盛土等の安全性の確保、すなわち許可基準・手続の設定及び報告・検査の実施です。盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じた許可基準を設定したほか、許可を受けるためには土地所有者等の同意及び周辺住民への事前周知(説明会等)が必要となりました(許可基準・手続の設定)。また、当該許可基準に沿った対策が講じられているか確認するため、施工状況の定期報告、施工中の中間検査及び工事完了時の完了検査を実施することになりました(報告・検査の実施)。

③は、責任の所在の明確化です。盛土等が行われた土地については、土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することが明確化されました。また、災害防止のために必要なときは、造成主・工事施行者や過去の土地所有者等も原因行為者として是正措置命令の対象となります。

④は、実効性のある罰則の措置です。無許可、安全基準違反、命令違反等に対して、条例による罰則の上限より高い水準とされました。具体的には、最大で3年以下の懲役又は1000万円以下の罰金とされ、法人の場合には、当該法人に対しても最大で3億円以下の罰金が科されることとなりました(両罰規定)。

2 隙間のない規制(①)

⑴ 目的・定義

 前提として、以下の通り、盛土規制法では法の目的についても改正され、それに伴い定義も変更・新設されています。

 まず、目的について、旧宅地造成等規制法1条では、国民の生命・財産の保護のため「宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行う」と定められていました。

 一方、改正後の盛土規制法1条では、「宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行う」と定められています(以下、盛土規制法については「〇条」と条文番号のみ、旧宅地造成等規制法は「旧〇条」と記載します)。

 そして、上記「宅地」、「宅地造成」、「特定盛土等」、「土石の堆積」の定義については、以下の通り定義されており(下表1)、規制対象となる具体的行為は盛土規制法施行令3条又は4条に規定されています(下表2)。そして、上記「宅地」、「宅地造成」、「特定盛土等」、「土石の堆積」の定義については、以下の通り定義されており(下表1)、規制対象となる具体的行為は盛土規制法施行令3条又は4条に規定されています(下表2)。

【表1】定義

宅地(2条1号) 〈変更〉

農地、採草放牧地及び森林(以下…「農地等」という。)並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供されている土地(以下「公共施設用地」という。)以外の土地。
宅地(2号)  〈変更〉 宅地以外の土地を宅地にするために行う盛土その他の土地の形質の変更で政令(盛土規制法施行令3条)で定めるもの。
特定盛土等(3号)〈新設〉 宅地又は農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地又は農地等に隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいものとして政令(施行令3条)で定めるもの。
土石の堆積(4号)〈新設〉 宅地又は農地等において行う土石の堆積で政令(施行令4条)で定めるもの(一定期間の経過後に当該土石を除却するものに限る。)。

 

【表2】政令で定める具体的内容

【宅地造成・特定盛土等】…施行令3条各号

(ア) 盛土をした部分に高さが1mを超える崖が生じる場合(1号)

(イ) 切土をした部分に高さが2mを超える崖を生じる場合(2号)

(ウ) 盛土と切土とを同時にする場合で、高さが2mを超える崖を生じる場合(3号)

(エ) (ア)又は(ウ)に該当しないものの、高さが2mを超える盛土をする場合(4号)

(オ) 上記のいずれにも該当しないもの、500㎡を超える盛土又は切土をする場合(5号)

※ 「崖」とは地表面が水平面に対し三十度を超える角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいう(施行令1条1項参照)

【土石の堆積】…施行令4条

(ア) 高さが2mを超える土石の堆積をする場合(1号)

(イ) (ア)に該当しないものの500㎡を超える土石の堆積をする場合(2号)

 

 なお、「宅地造成」について、改正前は「宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更で政令で定めるもの(宅地を宅地以外の土地にするために行うものを除く。)」(旧2条2号)と規定されており、改正後「特定盛土等」の定義が新設されたことに伴い、一部整理が変わることとなりました(下表3)。

【表3】「宅地造成」と「特定盛土等」の関係

  宅地→宅地 宅地以外→宅地 宅地→宅地以外
旧宅地造成等規制法 宅地造成(2号) 宅地造成(2号) ×
盛土規制法 特定盛土等(3号) 宅地造成(2号) 特定盛土等(3号)

⑵ 規制区域の拡大

 規制区域とは、規制の対象となる区域のことをいい、一定の要件をみたす区域について、都道府県知事により指定されます。

 旧宅地造成等規制法においては、「宅地造成工事規制区域」、すなわち宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きく、かつ、宅地造成工事について規制を行う必要がある市街地等の区域のみが指定対象でした(旧3条1項)。

 これに対し、盛土規制法においては、以下の2つの規制区域を定めることにより、規制区域が大きく拡大されました。

 1つ目は、「宅地造成等工事規制区域」です。

 宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴い災害が生ずるおそれが大きく、かつ、宅地造成等工事について規制を行う必要がある市街地等区域(市街地及び市街地になろうとする土地・集落等の区域)が、宅地造成等工事規制区域の指定対象です(10条1項)。

 本改正において、宅地造成のみならず特定盛土等、土石の堆積を規制の対象としたことにより、市街地や集落、その近隣地域など、人家等が存在するエリアについて、森林や農地を含めて広く規制区域として指定できるようになりました。

 2つ目は、「特定盛土等工事規制区域」です。

 宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であっても、土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件及び周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件からみて、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害により居住者等の生命・身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域が、特定盛土等工事規制区域の指定対象です(26条1項)。

 これにより、市街地や集落からは離れている場合であっても、地形等の条件から人家等に危害を及ぼしうるエリア(斜面地等)についても規制区域として指定できるようになりました。

⑶ 規制対象の拡大

 規制対象とは、上記規制区域内で規制される具体的行為のことをいいます。

 まず、宅地造成等工事規制区域における規制について、旧宅地造成等規制法は、「宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については、…都道府県知事の許可を受けなければならない。」(旧8条1項)と規定していたのに対し、盛土規制法は、「宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、…都道府県知事の許可を受けなければならない。」(12条1項)と規定されました。「宅地造成等」とは、「宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積」を意味します(10条1項)。

 宅地造成工事の場合のみ許可が必要とされていた旧宅地造成等規制法に比べて、盛土規制法は宅地造成工事以外の場合についても許可が必要となり、規制対象が拡大されました。

 次に、特定盛土等工事規制区域における規制については、盛土規制法27条以下に新設されました。特定盛土等工事規制区域においては、原則的には届出のみで足りるとし、危険性が高い工事については例外的に知事の許可を要するとしたのが特徴的です。

 具体的には、「特定盛土等工事規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事について…当該工事に着手する日の30日前までに、…知事に届け出なければならない。」(27条1項)と規定したうえで、「特定盛土等工事規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積(大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれが大きいものとして政令で定める規模のものに限る。…)に関する工事については、…当該工事に着手する前に、…知事の許可を受けなければならない。」(30条1項)と規定しています。

 すなわち、以下の通り整理できます(下表4)。

【表4】改製前後の規制対象

〈改正前〉

  宅地造成工事規制区域 それ以外の区域
宅地造成 許可必要 不要
宅地造成以外の盛土等 不要 不要
土石の堆積 不要 不要

 

〈改正後〉

  宅地造成等工事規制区域 特定盛土等工事規制区域 それ以外の区域
宅地造成 許可必要 原則届出、例外許可 不要
宅地造成以外の盛土等 許可必要 原則届出、例外許可 不要
土石の堆積 許可必要 原則届出、例外許可 不要

 

3 盛土の安全性の確保(②)

⑴ 許可基準・手続

 盛土等の安全性を確保するため、上記各許可を受けるには、まず、以下の4つの基準全てに適合していることが必要となります。

 具体的には、宅地造成等工事規制区域については12条2項、特定盛土等工事規制区域については30条2項に規定があり、ⓐ技術的基準(1号)、ⓑ工事主の資力・信用基準(2号)、ⓒ工事施行者の工事能力基準(3号)、ⓓ当該区域内の土地について所有権等の権利者の全ての同意を得ていること(4号)が定められています。

 そして、ⓐ技術的基準については、宅地造成等工事規制区域については13条1項及び施行令6条ないし20条、特定盛土等工事規制区域については31条1項及び施行令30条(6条ないし20条を準用)に規定されています。

 旧宅地造成等規制法では、技術的基準のみが定められていました。盛土規制法では、技術的基準について旧宅地造成等規制法の内容を踏襲しつつ、一部、崖面崩壊防止施設の設置や土石の堆積工事に関する技術的基準が新設されるなどの改正がなされたほか、資力や工事能力といった基準を新設することで多角的な審査が可能となりました。

 また、上記4基準のみならず、許可申請の手続が法律・命令に違反していないことという一般的基準も明示的に定められました(12条2項、30条2項)。

許可申請のための手続としては周辺住民への説明会等による事前周知手続が新設されたことが特徴的です(11条、29条)。

⑵ 報告・検査の実施

 盛土等の工事について許可がなされた後も、許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、工事期間中から工事完了まで継続的な報告及び検査の体制が整えられることとなりました。具体的には、工事期間中の定期報告及び中間検査、工事完了時の完了検査が規定されています。

 定期報告(19条1項、38条1項)が規定されたことにより、工事着手後3か月ごとに(施行規則49条)、許可にかかる工事の実施状況等(盛土等及び土石の堆積の高さ、面積、土量、擁壁等の工事状況など)を知事に報告しなければならないこととされました(施行規則50条)。また、各自治体の条例にて上記報告期間の短縮、報告事項の付加が可能です(19条2項)。

 なお、工事が一定の規模にかかる場合(施行令23条、25条、33条)にのみ適用されます。

 中間検査は、工事期間中、一定の場合に必要とされる検査です(18条、37条)。許可にかかる工事に特定の行程(盛土をする前の地盤面又は切土をした後の地盤面に排水施設を設置する工事。施行令24条1項)が含まれる場合には、当該特定工程の工事を終えたときにその都度当該工事後4日以内に(施行規則45条)、知事に対して中間検査の申請をしなければなりません(18条1項、37条1項)。当該特定後の工事(排水施設の周囲を砕石等で埋める工事)は、当該特定工程についての中間検査合格証の交付を受けた後でなければ行うことができません(18条3項、施行令18条2項)。

 なお、これも工事が一定の規模にかかる場合(施行令23条、32条)にのみ適用されます。

 完了検査は、工事完了時に必要とされる検査です(17条、36条)。完了検査については、旧宅地造成等規制法13条と基本的な内容は同様で、工事完了後4日以内に(施行規則39条)、知事に対して完了検査の申請をしなければなりません(17条1項、36条1項)。完了検査においては、上記許可基準(13条1項又は31条1項)に適合しているかどうかが検査され、これに適合すると認められた場合には、検査済証が交付されます(17条2項、36条2項)。

4 責任の所在の明確化(③)

 不適正な盛土等の工事が現に行われている場合には、知事から当該工事主等(工事主、請負人又は現場管理者)に対して、監督処分として当該工事の施工停止命令又は災害防止措置命令(擁壁の設置等)がなされることがあります(20条2項、39条2項)。不適正な工事の具体的内容としては、無許可での工事(同項1号)、13条の技術的基準に適合しない工事(同項3号)、中間検査を申請しないで行う工事(同項4号)などが挙げられます。

 盛土等の工事が行われた後の土地については、当該土地所有者等(所有者、管理者又は占有者)に管理責任があり、各規制区域指定前に行われたものも含め宅地造成等、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならないとされています(22条、41条)。この条文の建付け自体は旧宅地造成等規制法16条と同様ですが、本改正により宅地に限らず対象となる土地が拡大されています。

 また、当該土地が不適正な状態にある場合、知事から土地所有者等に対して監督処分として災害防止措置命令がなされることがあります(20条3項、39条3項)。不適正な状態の具体的内容は、無許可工事がなされた土地(同項1号)、13条の技術的基準に適合しない土地(同項2号)、完了検査を申請していない土地(同項2号、3号)、中間検査を申請していない土地(同項4号)が挙げられます。

 さらに、当該土地の災害防止措置がとられていない等の理由から災害発生のおそれが大きい場合には、土地所有者等に対して必要な工事を行うよう改善命令がなされることもあります(23条1項、42条1項)。なお、その原因が土地所有者ではなく工事主等の第三者にあることが明らかな場合は、当該原因行為者に改善命令がなされます(23条2項、42条2項)。

5 実効性のある罰則の措置(④)

 罰則については、抑止力として十分機能するように無許可工事、基準違反、命令違反等幅広い違反行為について条例による罰則の上限より高い水準に強化されました。

 具体的なポイントとしては、以下の点が挙げられます。

 ⅰ 罰則の上限が引き上げられた

 旧宅地造成等規制法では、最大で1年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされていました(旧26条)が、盛土規制法では、3年以下の懲役又は1000万円以下の罰金とされました(55条)。具体的には、無許可工事、命令違反等が本条の類型に該当します。

 その他、行為類型により1年以下の懲役又は300万円以下の罰金(56条)、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(57条)、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(58条)、50万円以下の罰金(59条)、30万円以下の過料(61条)と続き、全体的に罰則の水準が引き上げられています。

 ⅱ 法人の責任が引き上げられた

 旧宅地造成等規制法では、行為者のみならず法人も処罰するための両罰規定は存在しましたが、行為者と同程度の罰金刑が科されるのみで(旧29条。すなわち、最大で旧26条が規定する50万円以下の罰金にとどまる。)、実効的な抑止力とはいえませんでした。

 そこで、盛土規制法では、法人に対しても抑止力として機能するよう、法人に対する責任も引き上げられました。具体的には、最大で3億円以下の罰金が科されます(60条。両罰規定)。

<まとめ>

 以上のように、今回の改正では改正前と比較して危険な盛土について大幅に規制が強化されました。

 そのため、今後盛土工事等を行う場合には、各都道府県等のホームページなどで工事予定エリアが規制区域に該当しているかどうか、行おうとする工事が許可を必要とするものかどうかを改めて確認した上で、許可を必要とする場合には適切な手続に従って工事を行うことが必要です。

 特に、建設業者については、建設業法において、建設業者が建設業法以外の法令に違反し、建設業者として不適当と認められる場合には、必要な指示及び営業停止命令を受ける場合もあり(建設業法28条1項3号、3項)、盛土規制法の各規定に違反した場合にも同条の適用を受けるおそれがあります。盛土規制法について正確に理解した上、同法の規定に違反することがないよう、社内での意識の共有、工事の安全性の確認などを行うことが不可欠です。

 また、建設業を営まない企業や一般の方々においても、不適正な盛土等が行われた土地が原因となって土砂崩れなどの災害が生じた場合に、原則として土地所有者等が責任を負うことが明確化された点には注意が必要です。突然の災害によって責任を負うような結果にならないためにも、既に盛土等の工事が行われた土地であっても、今回の改正を機に土地の安全性について確認しておくことが重要です。

 なお、不法盛土の発生を防止する観点からみれば、工事自体のみならず、工事により発生した建設発生土の処理についても併せて検討すべきであり、資源有効利用促進法に基づく建設発生土の搬出先の明確化施策についても確認しておく必要があります。

 不法盛土による悲惨な事件を生じさせないため、それぞれの立場で行うことができる安全対策を実行することが求められます。

 

※本コラムは、一般的な情報提供を目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。コラム内の意見等については執筆者個人の見解によるものであり、当事務所を代表しての見解ではありません。個別具体的な問題については、必ず弁護士にご相談ください。

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